木と向き合い、
手仕事を重ねるものづくり。
薗部産業さんの工房を訪ねました。

 

LOBBY ODAWARAで
いまや定番商品になっている
薗部産業さんの木の器。

代表的な「めいぼく椀」や「仁取皿」は、
そのデザイン性を高く評価され
グッドデザイン賞を受賞しています。

薗部産業さんの特徴として、
めいぼく椀だけでも
6種類もの木で作られているので
いままでにはなかった
「自分の好きな木を選ぶ」という
新しい楽しみがあります。

そんな薗部産業さんの工房を
見学させていただくと、
使い手に寄り添った商品づくりへの
こだわりが見られました。

薗部産業株式会社は、
小田原の木工団地という
山から吹き下ろす風と
川からのほどよい湿度が
感じられる場所にあります。

1946年に創業し、
輸出品のサラダボウルを
手掛けていた経験から
日用食器として長く使ってもらえる
シンプルな食器づくりに転換。

今や百貨店や有名な生活雑貨店に提供するほど
その技術は全国でも折り紙つきです。

工房見学の始めに
出迎えてくれたのは、
天井近くまで高く積まれた
沢山の木材たち。

全国から運ばれてきた
木材はもちろん、
小田原市曽我梅林の
廃棄になるはずの梅の木なども
商品に加工できないかと
取り寄せているそうです。

運ばれてきたばかりの木材を
触らせてもらうと、
木本来の持つ水分でしっとり。

実は木の重さの80%は水で、
加工するには10%まで
乾燥させなければならないそう。

今回はめいぼく椀が出来るまでの過程を
ご紹介します。

乾燥させた木材を
商品の形に合わせて
切り揃えたあとは、
内側と外側の形を
あらかた整えていきます。

木材を高速で回転する
台座に取り付け、
手動で機械を動かして
一定の厚さまで削っていきます。

セットして削り終わるまで、
およそ15秒。

一発勝負でスピード感も求められる工程は、
息をのむほどの緊張感です。

削ったあとのものがこちら。

1回目は厚めに削り、
薄くお椀の形にするのは
さらにしっかり乾燥させてから。

最初に薄く削ってしまうと、
水分が抜けたところから割れやすいので
強度に欠けるそうです。

風や光が当たらない場所で
ゆっくり乾燥させたあと、
大きな乾燥室に入れて
さらに乾燥させていきます。

木の特徴に合わせて
乾燥の時間を調節し、
うつわの形になるまでには
およそ半年もかかるそう。

十分に乾燥させたら
ろくろが横になったような機械にセットし
お椀の形になるよう
薄く削っていきます。

木の柔らかさによっても
速度や当て方を変えるなど
微妙な調整が必要になる作業ですが、
長年の経験を頼りに
スッと刃物を当てていく様は
まさに職人技。

めいぼく椀特有の
ぽってりとしたフォルムを残しつつ
厚みのある部分を
たくさんの刃物や
ヤスリを使って整えていきます。

削り終わったあとのものがこちら。
おなじみのめいぼく椀の形になりました。

しかし、これは左手前に傷があるため
省かれてしまったもの。

40年以上のベテラン職人でも
削ってみないと
木の状態はわからそうです。

その他にも
染みや節があると
商品には出来ないので、
厳しいチェックを
クリアしたものだけが
最終工程へ。

形が整ったら
最後に塗装をして完成。

「同じ木でもひとつひとつ
木目が違うところを楽しんでほしい」

という想いから、
木目がきれいに見えるように
透明なウレタン塗装を施しています。

そういった気遣いのおかげで
木の種類によって異なる
微妙な色の違いも
はっきりとわかります。

薗部産業さんのこだわり

木を削り出すために
使用する刃物はすべて
職人さんが自ら作っています。

1回目の削る工程に
使用した機械に関しては、
なんと50年前に
めいぼく椀を作るためだけに
改造した年代もの。

製造する途中で出た端材や
割れてしまい商品に出来なかったものを
炭にして再利用し、
それを燃料にして火を起こしています。

さらに、削る時に出た木くずも
無駄にはしません。
牛や馬の寝床になるため
牧場に提供しているそうです。

「無理なく、無駄なく、土に還るまで」
木材をあますことなく使いきるのが
薗部産業のモットー。

理想の商品を作るためには
道具から自分たちで作り、
木を大切に使いきるという姿勢が、
私たちの生活にフィットした
商品を作り出す
秘訣なのかもしれません。

いまや800種類以上の
商品を生み出してきたという
薗部産業さん。

これからも
時代に合わせて新しいものを
作り続けるというその根幹には、

『木の良いところを生かしながら
気軽に使える商品をつくる』

という、ぶれない芯があります。

普段、お店では完成された形しか
見る事はできませんが、
今回、木を切り揃えて、乾燥させて
削って、また乾燥させて…
という長い長い工程を見学させていただきました。

木が持つぬくもりだけでなく
たくさんの人の手で大切につくられた
あたたかみを感じる薗部産業さんの
器をぜひお使いになってみてください。