風鈴の価値とも言えるのは「余韻」です。砂張はとても澄んだ音色で、余韻も長くよく通るため、「国会の振鈴(しんれい)」にも選ばれているほどです。この「国会の振鈴」も柏木家によってつくられました。まさに最高級と呼ぶにふさわしい「余韻」。一生ものとしてお使いいただける風鈴です。
小田原風鈴の伝統を唯一受け継ぐ柏木家の「砂張風鈴」は、砂張合金を使用した伝統の技術で、いまも一つひとつ手作りによってつくり続けられている、最高級の小田原風鈴です。
砂張は古くは「*佐波理」とも書き、銅に錫(すず)を20%以上含んだ合金のことで、正倉院御物の中にも佐波理製の仏具や食器が多くみられます(*安土桃山時代以降、茶人によって茶道具としても取り入れられ、砂張と書くようになったとされています)。
また、日本を代表する映画監督黒澤明氏が映画の中で使う風鈴を選ぶ際に「日本一の風鈴を持ってこい」と命じ、日本中から集められた風鈴の中から選ばれたのが、この柏木家の砂張風鈴だったという逸話も残っています。映画「赤ひげ」の中で、特に印象深い浅草寺のシーンの演出で、実際に使用されています。
まさに最高級と呼ぶにふさわしい、一生ものとしてお使いいただける風鈴です。
また、短冊には、宇宙を思わせる深い青味を持つ「ミッドナイトブルー」という高級厚紙を使用し、万葉集の中で山上憶良が織姫の気持ちを詠んだとされている
「久方の天の川瀬に舟浮けて今夜か君が我がり来まさむ」
という歌を銅で箔押ししました。夏の夜風に揺れる度、赤銅の煌めきが万葉の時代の「夜宙」へ誘います。
傷みやすい短冊の穴の部分は手作業でハト目で補強し、使用しているタコ糸は短冊の色に合わせて手染めした特注品です。
*末長くお使いいただくため、「交換用の短冊と糸1セット」が付属しています。
柏木美術鋳物研究所について
現在は、ただ一軒となってしまった小田原鋳物の伝統を守る柏木美術鋳物研究所。柏木家は1686年(貞享3年)大久保氏に従属し、佐倉を経て唐津より*鍋町へ移り住み鋳物業を営み始めました。
柏木家は、茶道具や華道具など、美術品なども手掛けていますが、中でも柏木家の特長としてあげられるのは砂張の技術を活かした「鳴物」です。
小田原鋳物の歴史
小田原鋳物の歴史は、1534年(天文3年)に後北条氏二代 氏綱の関東進出にともない河内から来住した山田治郎左衛門が新宿で鋳物業を営んだのが始まりであると「新編相模国風土記稿(幕末編集)」に記されています。
サイズ|
吊るした時の全長
約350mm
風鈴本体部分
全体の高さ:58mm(紐を通す部分の高さ:9mm)
直径外寸:45mm、内寸:39mm
短冊部分
横:45mm
縦:23mm
穴の直径外寸:9mm、内寸:5mm
伝統 小田原砂張風鈴 万葉和歌銅箔押短冊「夜宙」
価格 ¥16,500円(税込)